第13ステージでペレイロの逃げを容認したフォナックの戦略をDave Shields氏がDaily Pelotonで分析していましたが、同氏の小説、The Raceを読んでみました。
要約:
ユタ出身のベン・バーンズはフランスのバンク・フェデラルチームに所属するdomestique。才能はあるものの、数々の不運に見舞われ、その能力を充分に発揮できないまま現在に至る。ツール・ド・フランスの山岳ステージにおけるレース展開と、ベンの精神的な糧となる過去の記憶を取り混ぜながら、彼がラルプデュエズの山頂でマイヨジョーヌを獲得するまでのストーリーを語ったもの。
主な登場人物:
Ben Barnes:主人公
Thierry:バンク・フェデラルのリーダー
Pierre:バンク・フェデラルのDS
Fritz:バンク・フェデラルのメカニック
Kyle:ベンのアメリカ人ライバル
Bridgette:ベンのガールフレンド、Pierreの姪
主人公が孤児だったり、卑怯なライバルがいたり、周囲からのイジメにあったり、やさしいおじ様がいたりと、ここまで書けばもうお分かりですね。これはサイクリング版小公女です!(笑)というか、ヒーローが数々の難関を乗り越え、最終的には栄光を勝ち取るというありがちな熱血スポーツ小説なのですが、大したひねりもなく、ストレートに楽しめます。そこらここらに「総合賞とはなにか」とか、「なぜ横風が吹くとエシェロンができるか」という解説なども織り込まれているので、サイクリングに詳しくない読者にも親切。ドーピングの話は全く出てきませんです。主人公はミネラルサプリメントを飲まされますが。
感想など:
*レモンとイノーを思い出しました。二人の関係を理想化したストーリーのようです。アメリカ人サイクリストにとってフランスの観衆に受け入れられることは、永遠のテーマ...。
*やはり精神力、特に悔しさなど、マイナスのエネルギーをプラスに変えることのできる力がものを言う。つまりそれまでの人生経験が辛ければ辛いほど精神的な蓄えがあるということでしょうか。ナイスガイはチャンピオンにはなれない、ってジョージい...。
*当然ですが、カメラの前の選手ってやはり演技をしているのですね。小説では「カメラの前での演技」が戦略の一部となっていましたが、実際にそこまでするんでしょうか。画面上の情報を基に解説をしなければならないコメンテーターの予想などはあまりアテにならないのかも。
*いくら根回しをしたり、素晴らしい戦略を練っても、感情や人間関係が入り込み、レースの展開が変わることもある。命令通りに走らなければならないのがプロですが、そんな彼らも所詮は人間なのだなあ、ということを認識しました。人間性を理解した上で、いかに戦略を実行させるかということが監督の腕の見せ所かもしれないです。
8/20/2006
これまた架空のレース
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