7/08/2011

2011 Tour de France 第7ステージ

イエロージャージーは本日も無事雷神様の肩に。ファラーのスプリントはクラッシュのせいで見れず。今日のザブさんとラムナス君、お疲れでした。ザブさんは旧チームメイトのペイトさんと一緒にお仕事ができて楽しかったとか


総合:

1.  Thor Hushovd Team Garmin - Cervélo 28:29:27
4.  David Millar Team Garmin - Cervélo 00:08
25.  Thomas Danielson Team Garmin - Cervélo 01:57
26.  Christian Vande Velde Team Garmin - Cervélo zt.
48.  Ryder Hesjedal Team Garmin - Cervélo 04:28 ←おくれちゃいました
134.  Julian Dean Team Garmin - Cervélo 15:15
137.  Ramunas Navardauskas Team Garmin - Cervélo 15:44 ←お疲れ様です
142.  Tyler Farrar Team Garmin - Cervélo 16:12
173.  David Zabriskie Team Garmin - Cervélo 26:44 ←お疲れ様です

50.  Levi Leipheimer Radio Shack 04:29
55.  George Hincapie BMC Racing Team 05:16
78.  Tejay Van Garderen HTC - High Road 08:06
119.  Chris Horner Radio Shack 12:59
145.  Danny Pate HTC - High Road 16:47
150.  Brent Bookwalter BMC Racing Team 17:44

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先週ご飯を食べにいった際に義妹に「ツールって何が面白いの?」と唐突に聞かれました。「えーと、主に好きな選手やチームの走りを見守ることかな。あとはチーム同士の掛け合いとかも面白いし...」と説明していたところで、「NASCARとかと同じでしょ。私はクラッシュを見るだけよ。それがなければただ自動車が周回しているだけでつまんない」と口を挟んできた知人がいました。ちょうど食事が運ばれてきてしまったので、反論するタイミングを失ってしまったのですが、今日のステージを見ていてそんな会話を思い出しました。

確かに動きのあまりない平坦ステージなどは、JV監督でさえつぶやいていたとおり、退屈だなと感じることもあります。また、競技に対する興味や見識がなければないほど「ただ自転車を漕いでいるだけ」にしか見えないスポーツでもあります。

でもクラッシュがあればレースがよりエキサイティングになるかといえば、かえって逆なような気がします。

今日のステージで楽しみにしていたのはカヴ対ファラーのスプリント対決。クラッシュにファラーが巻き込まれたせいで期待通りのフィニッシュを見ることができませんでした。

総合にしても、ウィギンスとブライコビッチはリタイア、ホーナーとライプハイマーがポディウムに上る可能性はもう残されていません。 彼等の火花が散るような山岳ステージでの対決は見れないわけです。

クラッシュはつきもののレースだから仕方ないと思いつつも、選手が力を出し切れずにふるい落とされてしまうのは本当に気の毒で、残念だとしかいいようがありません。私が見たいのは自転車の上での力勝負であって、決して運の強さの比べ合いではないので...。

そしてこんなビデオを見せられたら「ツールなんてもういいから帰りなよ!」としか言えません:
Stage 7: Horner confused after crashing: http://www.cyclingfans.com/node/2502

あのホーナーさんが「全然わかんないんだけど。分かんないよ。どうしてこんなに遅れてるの?いつクラッシュしたの?ゴール前25km?25kmも追いかけてたの?」と明らかに困惑した様子。ブリュイネール監督は「クリスはクラッシュした後も、フィニッシュした後も、自分がどこにいるかはっきりと分からなかった。安全をとって病院で脳内スキャン受けさせる。」と語っています。

一方、今日のステージでリタイアしたボーネンさんは昨夜、激しい頭痛や嘔吐といった脳震盪の症状があったのにも関わらずスタート。車のクラクションや周辺の光や色に異常に敏感で、耐え切れずにリタイア。その前にもカンチェラーラなど、他の選手から「他の選手にも危険な存在だ」と監督への訴えがあったそうですが、監督は「よく考えろ。自転車から降りたらもうツールはおしまいだぞ」と何度も念をおしたそうです。

ガーミンでは、チームドクターが全てのチームカーにSCAT2という脳震盪ガイドラインを用意。スタッフでも重度の判定ができるよう訓練し、落車した選手の症状がひどい場合は、即時リタイアさせるというポリシーがあるそうです。このSCAT2によるとボーネンの眠れない、嘔吐、激しい頭痛などは明らかに重度の脳震盪の症状ですし、ホーナーがクラッシュ現場で既に自分がどこにいるのか分からなかったと話していたのもその症状だといえます。

米国プロフットボール界では、ごく最近になって、選手の脳損傷が問題視されるようになりました。2月に胸を銃で打って自殺した元シカゴ・ベ アーズのデイブ・デュアソンは慢性進行性外傷性脳症(CTE)をわずらっていたことを自覚し、自分の脳を研究に役立てて欲しいという遺書を残しました。このCTE、フットボール選手にはリスクの高い脳症で、認知症、うつ病、自殺などにつながる可能性のある病気です。多くの選手にCTEの症状が出ていることから、頭部外傷とCTEの関連性が伺われてきましたが、NFL側はもちろんそれを否定し続けています。その関連性を確証させたいというのがデュアソンの最後の望みでした。

脳震盪の危険性、二度目の頭部打撲が致命的な外傷になることは知られていますが、CTEのような長期的な脳障害につながる可能性があることを考えると、上記なような状態のホーナーをフィニッシュラインまで走らせたラジオシャックの監督、今日のステージをスタートさせ、念に念をおしてからようやくリタイアを受け入れたクイックステップの監督に対して、怒りを感じます。 「リタイアするかどうかは選手に任せる」という文句が聞かれますが、自転車競技の最高峰であるツールにはどうしても完走したいと切望する選手、その上意識障害のある選手にその判断を任せることは、監督として果たして責任のある行動だといえるのでしょうか。

ドーピングだけでなく、グランツールなどのコース設定や、「自転車を漕げるのなら最後まで走れ」という態度など、選手にとっての安全性を根底から見直す時は今ではないかと感じています。

関連記事:
スポーツと頭部外傷:http://hone.ninpou.jp/sports/headinj.htm
Procycling Plagued by Head Injuries: http://www.cyclingnews.com/news/pro-cycling-plagued-by-head-injuries
Before Shooting Himself, Duerson Said He Wanted Brain Study: http://www.nytimes.com/2011/02/20/sports/football/20duerson.html?_r=1

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