車社会としてのアメリカのアイデンティティは確固たるものですが、燃料の高騰、環境に対する懸念、健康維持への関心など、自転車に優しい環境を作り出すための要素が収斂するにつれ、少しずつ変化が起きているようです。 (ちなみに、今年のInterbikeは史上最大なのだそうです。)
私の済むタンパではようやく自転車専用レーンや標識などを見かけるようになりましたが、それでもまだ自動車の運転者の間では「自転車は歩道またはトレールを走るもの。車道を利用するべきではない。」という意識が深く根付いているようで、せっかく自転車レーンがある道路でも、こんなに中途半端だったっりします。フロリダの一部では自転車専用レーンを設けると、町並みの外観が崩れるというような理由で、まっこうから反対するコミュニティもあるようです。
一方、先日届いたBicycling10月号(9月号も同時に届きました。その他興味深い記事などはまた後ほどご紹介いたします。)にシカゴが全米で最も自転車に優しい都市を目指し、あたらしい自転車ネットワークや、日曜日は車交通を一部の道路で禁じる「自転車天国」を提案しているとの記述がありました。もともとシカゴ贔屓の私ですが、これを読み、ますます帰りたくなってしまいました。(でも実家のある郊外にどれだけ影響があるのかは不明です。)
同都市ではBike 2015 プランなるものをデイリー市長が6月に発表しました。その内容が非常に頼もしいので、エグゼクティブサマリーの一部をご紹介いたします。
実用的で汚染の心配がなく、手頃な自転車をシカゴ市民の交通手段として生活に欠かせない存在へと変えていくことが同プランの目的だそうです。
目標:
1. 自転車使用率の向上:走行距離が5マイル以下の外出の5%に自転車が利用されること。
2. 自転車関連の負傷率低下:現レベルより50%減
プランは8部構成:
1. 自転車ネットワーク:シカゴ市内全域におよぶ自転車ネットワークを設立
2. 自転車に優しい道路:シカゴ市内全ての道路を自転車にとって安全で便利なものにする
(学校、大学、駅などを中心に合計500マイルにもおよぶネットワーク。橋、アンダーパス、高速道路などを建設する際は、自転車のニーズを充分に配慮した上で、工事計画を練る。道路のくぼみや割れたガラス、車輪が挟まるような下水溝の格子などは定期的に確認し、即時に修理を行うこと。)
3. 自転車置き場:便利で安心できる長短期自転車置場を設置
(自転車ラック5,000点を追加、1,000箇所の長期自転車置き場を設ける。オフィルビルや商用ビル内でも駐車可能にする。)
4. 公共交通:自転車と公共交通への乗り換えの便を向上
(自転車利用者のニーズを考慮した上で、駅の設計や運営を行う。利用率の高い駅には自転車ネットワークを引く。駅の内外に自転車置き場を設置。自転車/公共交通の利用率の年間10%増加を目指す。)
5. 教育:自転車利用者、自動車運転者、そして一般公衆に自転車安全や自転車のメリットなどについて教育を行う
6. マーケティングおよび健康維持:健康維持と関連づけたプロモーションなど、マーケティングを通じて自転車利用率を高める
(安全な自転車の乗り方、自動車運転者には車道を自転車と共用すること、盗難などに関する教育を行う。健康で楽しく、便利な交通手段である自転車の使用を促す。学校、レクリエーション部門、公共交通、自転車連盟、非営利団体、健康医療機関、メディア、民営部門などとの提携関係を結ぶ。)
7. 法の執行と事故分析:自転車利用者の安全性を高めるために、法的措置の有効性を高め、徹底した事故分析を行う。
(自転車に安全な環境を支援するための法の執行を行うよう、警察官の教育を行う。シカゴ警察署内の自転車法執行努力の主査役を指定する。重大な自転車事故があった場合は、再発を防ぐため、徹底した事故分析を行う。)
8. 自転車メッセンジャー:自転車メッセンジャーの利用範囲を拡張させる
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ヨーロッパ各地の自転車交通をモデルとした計画らしいのですが、シカゴで成功すれば、こうした動きがその他の都市にも広まる可能性も当然ありますので、期待大です。ロードレースに対する関心が高まるという効果も多少はあるのではないでしょうか。デイリー市長には頑張っていただきたいです。しかし、予算の数字などがどこにも見当たらないのですが、6月に発表されたばかりの計画なので、まだなのでしょうか。
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あまり関係ありませんが、2006年Trekカタログの一部はシカゴで撮影されています。本拠点はウィスコンシンですからね、近場の大都市といえば、シカゴくらいしか…。
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