7/20/2007

シンケビッツが内部検査に引っかからなかったワケ

ビル・ステープルトンのコメントによると、

+Tモバ、CSC、スリップストリームなどが実施しているプログラムというのは、主に血液ドーピングやEPOの使用などを対象とした、血液・DNAプロフィールを作るためのもの。

+アンチドーピング検査は行なっていない。異常な状態を検出するために、血液ベースの検査を行い、もし何か見つかれば引き続き検査を行なう。アンチドーピング検査は独立機関が行なうべき。チーム自体がドーピング検査を行った場合、(独立機関による検査に引っかからない程度に)チームのドーピング使用を促す手段にもなりかねない。

+選手が引っかかるということは、このプロセスが趣旨通り機能していることを意味する。実際、このプログラムを開始して開始して以来、ツールのスタート前に数名の有名選手が詳しい検査の対象になっている。

スリップストリームのヴォータース監督の説明も同じ。

でも結局、その独立検査機関というのはどの程度信頼できるか、という疑問は残ってしまうような気がするのですが。Aサンプルの結果しか出ていないのに、ドイツ自転車連合側からドイツテレビに結果がリークされたというのも、どうなんだか。

ちなみに、ARDとZDFは公共放送局ですから、国税を費やしてまでそんなものを見せるのはけしからん!とおっしゃるのは当然だといわれれば当然かもしれません。幸い、ドイツでは完全にツールが見られないというわけではなく、二局の後釜としてツールの放送権は有線のSAT1というチャンネルに与えられたそうです。さらに、Eurosportでも観戦可能です。

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ラスムッセンも何やら、自分の居場所をデンマークサイクリング連合当局に申し出ていなかったことで、3度も警告を受けた結果、ナショナルチームから外されてしまったとか。本人は「何かの間違いだ」と言い張っていますが。うーん、ザブの提案(?)通り、GPSを利用した方が効率的かもしれません。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

VeloNews読みましたが、didoさんのブログでより理解が進みました。ありがとうございます~。

ふむふむ、チームとして行っているのは血液検査だけ、と。テストステロンの使用は血液成分の検査ではわからないようですし、それでWADAの検査で初めて陽性になった、というわけですね。ですが、陽性になったサンプルはレースではなく練習の最中のサンプルだということで、なぜ練習でテストステロンを?という謎は残ります。チーム内で、ツール出場選手選抜紅白試合でもやっていたのでしょうか(なんだそりゃ)

しかし、T-モバのやり方ってあざといな~と思うこともしばしばですが、ステイプルトンはかなりのやり手ですね。特に、「チーム自体がドーピング検査を行った場合、(独立機関による検査に引っかからない程度に)チームのドーピング使用を促す手段にもなりかねない。」このあたり。本当の理由は、WADAの領分を尊重することでいい関係を保つこと、チームが検査のがれ可能なドーピング方を開発していると疑いをもたれないため、なのではと考えます。他からの信頼を得るためには、重要なポイントです。

「ルーチンの血液検査→異常が見られたらさらに精密な検査」というプロセスも説得力がありますし(UCIの、サインしないとツールに出さないという誓約書の中味よりも、よっぽどドーピング抑制に実効性があるように思えます)、UCIのトップ、とまでは言いませんから、UCIドーピング対策本部長にステイプルトンを招聘し、ドーピング撤廃プロジェクトの陣頭指揮をとってもらったらどうでしょう。って、ちょっと買いかぶりだったり。

>独立検査機関というのはどの程度信頼できるかという疑問は残ってしまう
本当にその通りです。独立してりゃいいってモンじゃないですしねえ……。

うわー、長々書いてしまいました。
失礼いたしました<(_ _)>

dido さんのコメント...

>カピバラさん、

>ツール出場選手選抜紅白試合
(笑)確かに練習で使う必然性はありませんよね。ひょっとしたら「本番前に慣れておこうと思った」とか、検査の仕組みを理解していなくて、「テストステロンの平常値が高ければレース中に高くても問題ないだろうと思った」、なんてくだらない理由しか思いつきません。いくらなんでも、シンケビッツがこんな事を考えていたとは思えませんが。

>ステイプルトンはかなりのやり手
初ツールでいきなり苦境に置かれてしまったステイプルトンが、サイクリング業界の複雑な利害関係を処理しながら、どうTモバを先導していくのか...。ツールも面白いですが、こちらの展開も見逃せませんね。

CSCのドーピング撤廃プログラムについては全く知らないのですが、ステイプルトンにせよ、スリップストリームのヴォーターズにせよ、こうした改革を米国人が中心的に行っているという点も興味深いですね。