Podium Cafe経由で知ったランディスのグーグル訪問動画。
YouTube: Authors@Google - Floyd Landis
自伝のプロモーションのために、ランディスが7/13にグーグルを訪問。グーグル社員に加え、かなりの数のサイクリングファンが集まっていた様子。56分程の質疑応答セッションの一部ご紹介:
-ラルプデュエズのようなきつい山岳をどうやって登りきるのですか?
ランディス:ラルプデュエズが飛びぬけてきついというわけではないし、カリフォルニアにもその程度の山ならある。ツールのステージでは、幾つかの山岳を越えた上にラルプデュエズを登らなければいけないのがつらい。さらに、ラルプにはそれなりの評判があるからね。
-ランスのチームメイトで走るのはどんなカンジ?
ランディス:えーと、これってあとでYouTubeで発信されるんだっけ?(笑)ランスは完全主義で強迫的。友達も少ない難しい人。けれど、彼から学んだことは沢山あった。初めてツールに出場したときも、ランスのような優秀候補のために走るという動機がなければ、絶対に完走をするのは無理だった思う。そうでなければ、ツールなんて単に悲惨な毎日だからね。
-去年の第16ステージのような経験があった場合、どのように立ち直ることができるのですか?
ランディス:アルコール(笑)。まずは新しい計画を立て直す。そしてチームにも新たな動機を与えて励ます。
-スリップストリームやTモバのようなアンチドーピングプログラムに関してどう思いますか?
ランディス:正しい方向には向かっていると思う。検査手法などの詳細については良く知らないけれど。一つ気になるのは、アンチドーピングプログラムが、陽性結果を旨く回避するためのドーピングプログラムになりかねないということ。でも両チームとも、動機は正しいとおもう。
-今年のツールの有力選手は?
ランディス:ヴィノクロフ。クラッシュで1:20のロスを負ったけれど、その程度でツールに負けるということはないはずだし。勝って欲しいと思うのは、ライプハイマーかな。いい友人だから。
-バリー・ボンズについてはどう思いますか?
ランディス:ボンズは当時禁止されていなかった薬剤摂取の疑いを受けているわけだけど、それが果たしてズルをしたことになるのかはわからない。だって、それに関する規制がなかったわけだから。複雑な件だけど、他の選手もしているかもしれないし、彼に対する扱いは不公平だと思う。
-Leadville出場の可能性は?ランスも出場が決定したそうだけど。
ランディス:出場しようと思ったのは、目標なしにトレーニングを行なうことの難しさを感じていたから。いままでずっとゴールに向かって走ってきたわけだけど、それが初めてなくなり、どんなに難しいかが解った。MTBはレースよりも単に乗るのが好きかな。レースをするなら、自分はロード向きだと思う。
-ビジネスとしてのサイクリング業界についてどう思いますか
ランディス:(「グーグル!」と観客から声が上がる。)100%スポンサーに依存しているのは確かだし、ドーピング問題のためスポンサーに敬遠されているのも理解できる。でもサイクリングはこれまで生き延びてきたスポーツだし、今後も競技として消えてしまうことはないだろう。
-リースがEPO使用を認めたことについて
ランディス:それで彼の気が晴れて、さらにポジティブな結果につながるのだとすれば、いいのでは?でもまだその影響は解らないわけだし...。ツールが彼の優勝を撤回したそうだけど、遡ってまで倫理を強制する必要はないと思う。こうした機関は何を目的にこういう規制を定めているのかを明確化しなければいけない。子供達への影響?選手達の健康?どこで線を引いたらいいのか?何を求めているのか?スポーツというのは、そもそも公平なものではない。そりゃ、全く公平で、フィニッシュ後、全員ハグを貰えるのだとしたら、素晴らしいけどさ(←皮肉)。規制にはかなりのグレーゾーンがあって、「パフォーマンスを強化するいかなる薬剤や手法を禁じる」とされているけれど、それってアルティチュード・テンドを始め、トレーニングだって、睡眠だって、何でも含まれるような気がする。そこは、白黒はっきりしてもらわないと困る。
-無線ラジオの使用について
ランディス:チーム内のコミュニケーションが楽になるという点では、チームがつねに固まっていなくていいのだから、レースはより安全になるよね。戦略にはあまり関係ないと思う。チームカーよりも選手の方が、周りの状況を良く把握していることもあるし、指示を待たずに行動しなければいけないこともあるからね。
-ツールに向けてどんなトレーニングを行なっていましたか
ランディス:毎週500-600マイルを走る。約25-35時間かな。そして登りも5-6万フィート。オマケにTTバイクでの練習も数時間。それを全てこなして、体調も万全なら、勝利は君のものさ!(笑)
-自転車の最新技術は実質的なもの?それとも単なるマーケティング?
ランディス:トップレベルでは、どのメーカーの自転車が特に優れているわけではない。強いていうなら、最近の技術的進展で最も目覚しいのは、ホイールの軽量化かな。その他の変化はあまりにも漸進的で...だからこそ、風洞実験が必要になってくる。風洞実験はあまりにもつまらないものだから、個人的には同じコースを50回も走らされたほうがいいと思ってるけど。
-サンディエゴのローカルライドに参加したことは?
ランディス:社交的なライドに参加したいんだけど、自分がいると決まってペースを上げるヤツがでてきて、おしゃべりなんてできない状況になってしまうのが残念。
-プロトンで走ることについて
ランディス:テレビでは判りにくいけれど、集団の先頭を走り続けることはかなりハード。集団で走るのは結構緊張するものだし、ザブリスキーなんかいまだにリラックスできていないようだね。マーキュリー時代はよくクリテリウムに出場したけれど、そのお陰でハンドリング技術は確実にアップした。集団での会話は...お互い嫌なやつだと思っていても、丁重な関係を保つね。わざとクラッシュするヤツはいない。自転車ポンプをレースに持ち込むなんて、トンでもない!(この映画のこと)
-自転車選手として一番の思い出は?
ランディス:2006年ツールの第17ステージ。2004年の第17ステージも捨て難い。
-ヴェロドロームで走ってみたことはありますか?
ランディス:去年ファンドレーザーで走ったよ。パーシュートなら楽しそうだし、やってみたいと思うけれど、自分はスプリントが苦手だから。
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今回の訪問に大きく貢献していたのは、元ポスタル選手のDylan Caseyがグーグル社員であること。グーグルがひょっとしたらディスカバリーの後釜に、なんて噂もありますが、実際、スポンサーとしての可能性を打診するランスからの提案書が社内を漂っているのだとか。
2 件のコメント:
ランディスの「規制にはかなりのグレーゾーンがあって、・・・・・・・・・白黒はっきりしてもらわないと困る。」にはかなり頷いてしまいました.ほんとねー、原子力発電にしろ遺伝子組み換えにしろ多面的な見方をすべきなのに、ラベルだけを見て悪と見なされていますね.ドーピングもそうなのでしょう.
ザブちゃんのリタイアは悲しゅうございましたが、didoさんご紹介の申し訳なさそうなインタビューを見るとよしよしと励ましたくなります.でも2年ほど前の誕生日にお祝いメール送ったけど返事なかった.そういえば orz(笑)
>moritaku_bearさん、
私は、GMO食品は「どーんとこい」、原子炉は「廃棄物をきっちり処理してくれれば最高のクリーンエネルギー」という、肯定派だったりします。夫は、「廃棄物はロケットに乗せて、太陽に向かって打ち上げればいいんだ」と経済的に現実味のない提案をしておりますが(笑)。
GMO食品や原子炉は、それらが何であるか、そしてそのプラス面、マイナス面なども比較的明確で、議論としては、これらの技術を利用するべきか、というところまで達していますが、ドーピングの場合はまだまだ、「こういう悪影響はもたらしたくない」ということがぼんやりと分かっているだけ。そのため、ドーピングの定義さえもはっきりしない、という問題なのかもしれません。
ザブちゃんのリタイアの理由がスポンサーに強要されたシューズ、というのが泣けてきます。シューズカバーじゃ駄目だったのでしょうか。moritakuさん同様、ザブの頭なでなでして、背中ぽんぽん叩いて、励ましてあげたいです。
メールの返事、なかったのですね。最近はコンピューターも持ち歩いていないそうなので、あまり期待はできませんが、出してみようかしら...。
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