ミヤタ・バイシクル オブ アメリカ
当社は1890年(明治23年)創業の日本の自転車メーカーのパイオニアである宮田工業(株)の初めての海外子会社として1983年に現在地であるエルクグローブに設立され自転車の輸入および全米の市場に対する卸売りを行っています。
宮田自転車の米国市場への進出は1960年代のはじめから主としてバイヤースブランドにより行われていましたが1970年代の前半からは自社ブランドにより販売が始められ以降当社が成立されるまでの約10年間は豊田通商(株)の米国子会社であるトヨダアメリカ社によって輸入卸売りが行われていた歴史があります。
現在事務所は当地にある本社のみですが近く北カリフォルニアのサンノゼ市にも事務所を開設する予定になっています。
米国の自転車の重要市場はニューヨーク、ニュージャージー州を中心とした東海岸、シカゴを中心とした中西部、およびカリフォルニア州が主力の西海岸ですので、当社も流通拠点としてニュージャージー州サマーセット、南カリフォルニアのコンプトン氏および当地の三カ所にある日本の倉庫会社の営業倉庫に在庫を持ち全米に散らばる小売店に販売しているわけです。
米国の自転車市場は年間約1千万台という規模ですが、此の内75%はマスマーチャンダイザーに依る低価格品市場で当社の販売対象市場はこの残りの25%を占める自転車専業のディーラー向となっています。
現在市場での需要の中心は数年前より台頭して来た巾の広いタイヤの付いたマウンテンバイクになって来ておりこの為長年人気のあったレーシング車を含むライトウェイト車の割合は最近数年間減少の一流をたどっています。マウンテンバイクは巾広タイヤとフラット又は上向きのハンドルバーが付いている為比較的に乗り心地が良いこともあって急速に普及しマウンテンだけでなく街中での使用も多いことから最近はマウンテンバイクでなくオールテレインバイク(全地形用自転車)ATBと呼ばれ今や需要の主流となっています。
これに加えて昨年辺りより前述のライトウェイト車とオールテレイン車の中間に位置する所謂ハイブリッド車と称される両車種の中間のタイヤ巾の車種が新登場し当社ではこれをクロス車という呼称で既に昨年度より数車種を販売しています。
最近は材料面でもこれ迄のように鋼鉄(スチール)製のフレームのみでなくアルミ、チタン、カーボン等の使用が増加しており当社の場合も日本から輸入している宮田工業製品の主流はかつての溶接に変わる接着工法によるアルミやチタン又はカーボンファイバー製フレームの自転車となって来ています。米国の自転車業界も御多分に漏れず過去10年余りの間に国産品が減少し輸入品に依存するような状況となって来ており年間700万台余りも輸入されていますがその主流は台湾で輸入車全体の70%強を占めています。当社も価格競争上小売価格$300~$1700の当社商品の内の低価格品は台湾で生産し競合他社と市場で競争している現状となっています。
最近は消費者の趣好の変更から特に塗色のカラーやグラフィックデザインの良し悪しで売れ行きに大きく影響するようになって来ている為毎年のモデルチェンジの度にこの選定が頭の痛い問題となっています。
現在此のエルクグローブの本社には日本人2名と米国人社員約10名の少人数で各地に散らばる約15名のセールスマンと共に全米の市場を管理運営している次第で当地駐在の皆様も自転車を購入される際には本年4月より創業101年目の新創業元年に入ったミヤタの製品を想い出していただければ幸と想います。別添の写真は創業100周年を記念して当米国市場でも発売したモデルでラグ(接手)類を金メッキしたカーボンファイバー製フレームを使用しています。
(宮田英夫)
MT CENTURY、QUICKCROSS両モデルの広告内容は次の通り。
MT CENTURY
100th Anniversary Limited Edition model
Bonded Carbon Fiber Main Frame
Aluminum seat/Chain Stays
Cromoly Round-Oval-Round Fork
14K Gold-Plated Lugs
Shimano Deore XT II
Ritchey Megabite Tires
Trimble Roo Carbon Fiber Bar and Stem
QUICKCROSS
Aluminum A.P.A. Bonded Main Frame
Cromoly Seat/Chain Stays & Fork
Shimano RX100
STI Rapid Fire Shifting
Hyperglide/Superglide
National Khartoum 700x35mm Tires
ATB Toe Clips & Straps
Avocet Touring Saddle
Quick-Release Wheels & Seat
21 Speeds
Color: Parakeet
1) The Quickcross Hybrid. A perfect point between two states of mind.
2) It's an aluminum version of the Miyata Triplecross. It's the Quickcross! Light and responsive. The Aluminum frame absorbs vibration and shock, the Shiano componentry lets you effortlessly click through 21 gears with three simple buttons while Hyperglide and Superglide make it smooth and silent. don't be misled by all this comfort. Quickcross is high-tech, high-performance, and will be very effective in getting you in top condition. You'll just enjoy the trip more.
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コメント:
+そして現在はロード車の人気が再び高騰中。この周期を繰り返しながら業界は進化してゆくのですね。
+カーボンメインフレームでラグ!ステイがアルミでフォークがクロモリ!小売価格の上限が$1700!
+「当地駐在の皆様も自転車を購入される際には」うわー、ごめんなさーい。トレックのハイブリッド買ってましたー。
+「塗色のカラーやグラフィックデザインの良し悪しで売れ行きに大きく影響するようになって来ている為毎年のモデルチェンジの度にこの選定が頭の痛い問題となっています」うっ、耳の痛いお言葉。
+ミヤタはこの後、北米市場から撤退。Koga-Miyataとしてヨーロッパ経由で再び代理店を設立しはじめたのは最近のことのようです。
+クイッククロスの写真。MT CENTURYはいくら検索をかけてもでてきませんでした。手元に白黒のコピーならあるのですが、画質がひどくてとてもお見せできるものではありません。
+ちなみに、この記事を発見する前日、ランディスの自伝を借りにいった図書館の駐車場に止めてあったハッチバック車の中をふと覗くと原色カラーのmiyataバイクが横たわっていました。フォーラムなどを見る限り、かつてのミヤタの自転車は品質が良いと、評判が高いですね。
+こんな近くに自転車メーカーの営業所があったとは。フロリダに引っ越してくる前はエルクグローブで働いていたのですが、その頃もっと自転車に興味があれば良かったのに...。
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タイムリーにも(へ?)、今週のくりらじ「サイクルメカニクル」のゲストはミヤタ自転車のフレーム設計者でもあるチームミヤタの元木メカニックです。さらに、6月の放送ではDEKOさんが昭和の自転車について語られています。
+7月8日(ゲスト:ミヤタの元木メカニック・フレーム設計者)
+6月24日(昭和の自転車のお話)
また、宮田工業について調べている間に日本自転車史研究会というサイトに辿り着きました。ロードレーサーも良いですが、オーディナリー自転車ってなぜか魅了されます。
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